かんたんな手の描き方を丁寧に解説します【スッと描ける】

かんたんな手の描き方

イラストを描いているとき、うまく手を描けずに思わずペンを置いてしまったことはないですか?手は難しいパーツなので、上手に描けなくてもそれが当たり前です。

しかし、方法さえ知ってしまえば、ずっと描くのはかんたんになります。

かんたんに描けます!

この記事を読んでいただければ、今よりスムーズに、「上手い!」と思わせる手が描けるようになることを約束します。

この記事では、手の描き方を3つ紹介します。

今回紹介する手の描き方
  • 「写真をトレースする」
  • 「写真を模写する」
  • 「立体構造を取り入れて、
     写真を模写する」

先に示すものほど即効性があり、後ろのものほど学びが大きいはずです。用途にあわせてお好きなものをどうぞ。

ぜひ、実際に手を動かして描いてみて下さいね。実践なしに習得はできませんので。
それでは一緒に描いていきましょう!

今回は女性の手を描いていきます。

目次

事前準備

まずイラストのラフを描きます。全身なくして手はありませんからね。

今回はこれでいきます↓

このキャラの右手の、チョキを描いてみましょう。

続いて、自撮りをします。手でチョキのポーズを作ります。手を描く時、私はほとんどの場合手を自撮りしてますよ

ここでのちょっとしたコツです。

  • ビデオ撮影をして、ベストの瞬間をスクショする
  • 加工で明るさやコントラストを上げて見やすくする

こちらをGoogleフォトでPCに同期させ、ダウンロード後イラストソフトに取り込んで準備完了です。

Googleフォトが使えなければメールに添付してもOKです。

写真をトレースする

先ほどのラフに写真を重ねます。

ラフを薄く、もしくは非表示にして新規レイヤーにトレースしていきます。

素直に輪郭(にあたると思われるところ)をなぞっていくと、こんな感じになります。

自分の手にこういうことは言いたくないですが、絵としてはちょっと不細工です。

きちんとトレースしているのに、なぜ違和感がでるのか?

ちゃんとトレースはできてます

この違和感の原因はずばり、

普段見ているイラストの女性の手は「細く、なめらかに」デフォルメがされているから

です。

なので、トレースをした際に自然な手にするには写真の手の輪郭を律儀に追わず、細さとなめらかさを意識しなければなりません。

これを意識してもう一度やってみました。

線の強弱は考えず、シンプルに
あとから強弱をつけてもよいかも

だいぶイラストらしい、自然な手ではないでしょうか。写真と比較してみましょう。

写真をそのままなぞっていないことが分かりますね。

具体的には、

  • 指を細くする
  • 指の先をとがらせる
  • 線と線をなめらかにつなぐ

この3点に気を付けてトレースしてもらえれば大丈夫です。

写真を模写する

トレースには抵抗がある…

結局なぞれないなら、トレースの旨味がない

こう思われた方は模写で描いてみましょう。

模写の様子を撮ってみました

はじめはこのように、おおまかなシルエットを捉えます。

この時のコツとして、シルエットが内側にへこんでいる部分のかたちをよく観て、それを再現するとシルエットがとりやすくなります。

下の図の青く示した部分ですね。

手自体には立体的な情報が多く含まれていてそれに惑わされてしまうのに対し、この余白の部分はそれがありません。

だからシルエットをとるのに集中したいときはこの「へこみの余白」を観てください。

この余白はしばしば「ネガティブスペース」と呼ばれます。

ひきつづき、ネガティブスペースを観ながら模写を続けていきます。

赤く示したところは目印となる3点をつないだ三角形です。

ネガティブスペースほど使い勝手は良くないですが、とにかく3点見つければ良いので汎用性は高いです。

このように、おおまかなシルエットをとり、その後はひたすら「ネガティブスペース」と「三角形」で最終的なかたちに徐々に近づけていきます。

ここまで来たら新規レイヤーを作ってこのレイヤーは薄く(不透明度10%付近)表示し、

最後まで模写元をよく観ながら描いたら完成です。

立体構造を意識しつつ、写真を模写する

さて、模写は実践していただけましたでしょうか。やってみると分かるのですが、けっこう難しいですよね。

模写が満足にできなかった場合、シンプルに模写に慣れていないほか、手についての立体的な情報が不足している可能性があります。

今までは2次元的な情報のみで手を描いていました。

そこに立体構造という3次元的な情報も加えることで、安定して、いろんな角度から手を描くことができるようになりますよ。

それでは手の立体についての基本的な知識を紹介したのち、チョキの手を描いていきましょう。

手を単純な立体で考える

手の甲を板に置きかえます。やや厚みのある、ゆるく湾曲した板です。

これを手の中に見出すとすれば、こんな感じになります。

なんとなく、イメージはできたでしょうか?

注意すべきポイント2つ

  • 曲げた指の付け根の位置
  • 板の位置

指が曲がる位置はご存じでしょうか。

手のひらから見るとシワの部分から曲がります。

手の甲から見ると指の付け根のでっぱった骨の部分から曲がります。

そして、ここではこの指が曲がる部分も込みで板に置きかえているんです。

なので、曲がった指は板の天面ではなく、側面から生やしてください。

また、板は「手の甲側」にあてがいます。

手のひらの肉の盛り上がりに惑わされないように。

上記の2点は実際に私がしばらく勘違いしていたところです。恥ずかしながら。

さらに意識できると良いポイント2つ

板の存在を考えるだけでもだいぶ手を描くのは安定します。ただ、それだけではやや力不足かな、と感じるのも事実です。

そこで、これを取り入れれば、さらに手を描きやすくなるポイントを厳選して2つお伝えします。

  • 親指の付け根の線をとる
  • 指の付け根はアーチ状

親指の付け根の線をとる

親指は五本指のなかでもだいぶ様子が違うので、模写するにしてもどうも苦手、という方は多いのではないでしょうか。

親指を描く際のとっかかりとしては、このように親指の付け根の線をとります。

どれだけ親指を動かしてもこの線はほとんどその位置を変えないので、よい目印になります。

そして、親指を開いている場合はここに筋肉と水かきをおおまかに捉えたこの緑の線を引きます。

これら2つの線の存在を知っていれば、模写で親指を描くことは多少かんたんになりますよ。

指の付け根はアーチ状

指の付け根はまっすぐではなく、アーチを描いています。

これをさきほどの板に反映させます。

さきほどはこのアーチの部分は省略していました。湾曲した板を描くだけでもはじめはしんどいですからね。

真正面から見た時に指の付け根がアーチになっているのは忘れづらいのですが、横からのアングルになるとおろそかになりがちなので注意です。

チョキの手で実践

以上の点を踏まえて、例のチョキの手を描いてみます。

模写の前に、あらかじめ模写元の手にさきほどの「板」を見出しておきましょう。

全体の模写の流れとしては、

おおまかなシルエットを捉える
板を描き入れる
→ネガティブスペースと三角形を使って
 形を絞り込んでいく 

でOKです。

私はいつもこのくらいの段階で描き入れますよ。

形をおおむねとれたと感じたら新規レイヤーに線画を描いていきます。
ここでも模写元をひんぱんに観てくださいね。

完成です

さらに、ステップアップ

ここまでで手の描き方について、3つの方法を紹介してきました。できそうなもの、気にいったものはありましたか?

それっぽい手は描けるようになった!という優秀なあなたに、もう一段階、魅力的な手に変貌させるポイントを3つお伝えします。

  • わずかな凹凸を連続させる
  • 四本の指をうねらせる
  • 爪を描く

わずかな凹凸を連続させる

とくに、曲げた指の背を描く時に重宝するテクニックです。

関節の骨の輪郭は外に凸に描いて、
その間の輪郭は内に凸に描きます。

これを取り入れると一気に色っぽい手になります。手の甲などにも応用できなくはないです。

四本の指をうねらせる

手のポージングは得てして人差し指から徐々に開いていく形になりがちです。

この指のうねりを再現すると自然な手になります。

  • 指の背の見える面積を変える
  • 指の生える角度をずらす

の2つのアプローチがあります。

爪を描く

爪を描くだけで女の子らしい手になります。

第一関節~指先の領域に、内に曲がる段差をつけるデフォルメ表現もあります。しつこくならないので、個人的に好きな描き方です。

もっと上手くなりたい方へ

ここまでお疲れ様でした。

3つ目の方法で紹介した、手の甲を湾曲した板に置きかえる描き方は、以下の本により詳しく載っています。

手と足を描く (モルフォ人体デッサン ミニシリーズ) | ミシェル・ローリセラ, 布施 英利, ダコスタ 吉村 花子 |本 | 通販 | Amazon

この記事が比にならないくらい膨大な作例があり、開いても勝手に閉じない製本がなされているので使いやすいです。画面上にしか参考資料がないのはなかなか不便なところがあるので、おすすめします。

ここまで読んでいただけたあなたならきっと気にいるはずです。私もこのシリーズはお気に入りです。

逆に、全然描けるようにならなかった方へ

描く試行回数が足りないか、私の伝える力が不足しているか。

もしくは写真をもとに絵を描くことに苦手意識があるかのいずれかだと思います。

写真というのはいかんせん情報量が多く、線画におこすのを難しく感じるのは仕方のない事です。

それでは、トレース/模写元が線画ならやりやすくなるのではないでしょうか。

Amazon.co.jp: マンガ家と作る 萌えパーツデッサン集 【手】 マンガ家と作るデッサン集 (マンガ家と作るシリーズ) eBook : スカーレット・ベリ子: 本

私の持っている手のポーズ集です。

フカン・アイレベル・アオリの3視点 × 周囲12方向 + 真上/真下の計38アングルの手が12ポーズ分掲載されています。

ややリアル & 男性チックな絵柄の手なので女性の手を描きたい場合のデフォルメは各自で頑張る必要があります。
とはいえ情報量が線画のみなので模写は写真よりずっとやりやすいはずです。

ちなみにトレース可のCD-ROMもついてます。

かんたんな手の描き方を丁寧に解説します【スッと描ける】の、まとめ

なんだかんだ、トレースが一番やりやすいかも。

今回はかんたんな手の描き方として、方法を3つ紹介しました。

私はいつも立体構造+模写で手を描いているのですが、案外トレースも悪くなかったり、いろんな発見がありました。

皆さんも力量や状況にあわせてお好きなやり方で描かれてみてはいかがでしょうか。

それでは、良いお絵描きライフを!

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